『地方の土地活用について』
第3回 |
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令和1年7月18日 以前お知らせした『地方の土地活用について』の第3弾です。 いよいよ建物の図面が決まりまして、基礎工事が行われたのですが・・・ ここで一つ問題が発生してしまいました。 『ガラ』とよばれるものです。 (量にしておおよそ0.5㎥ほどでした) この不動産は以前の記事にもありましたとおり、原野商法に利用されてしまった土地だったのですが、弊社にて物件調査を行い、居住用の不動産として商品化致しました。 今回は掘削された場所から、つまり掘らなければ全くわからなかった訳です。 当然ながら物件調査の際に、過去に建築された記録もありませんでしたので、あくまで想像ではありますが昔にここで不法投棄されたガラではないかと思われます。 このガラを良く見ると、下水道管の一部と思われる物、アスファルト、土間に使われたと思われる物等がありました。 過去に建築記録の無い場所に建築物のガラがあるということは・・・不法投棄と考えるのが普通です。 では、いったいこの責任は誰が取らなければいけないのかというと・・・ 売主である弊社なんです。 宅建業法ではこれを「瑕疵担保責任」といいます。 宅建業法上による瑕疵担保責任とは、売買の対象物に隠れた瑕疵(=外部から容易に発見できない欠陥)がある場合、売主が買主に対してその責任を負うことです。 隠れた瑕疵があり、これにより買主がその目的を達成できなかった場合(今回のケースだと建物が建たない場合)買主は、売主に対して契約解除を主張することができます。今回は目的を達成できますので、「損害賠償の請求」の一部としてガラの処理(廃棄物処理)をしなければなりません。 なお、契約解除や損害賠償の請求ができるのは、買主が契約の際に瑕疵の存在を知らなかった場合で、かつ、知らなかったことについて買主に落ち度がない場合となります。 (買主様も弊社も現場を掘っていないわけですから当然ながら全く落ち度はありません) 民法上、瑕疵担保責任を追及できる期間は、特に定められていません。 買主が瑕疵の事実を知った時から1年以内に行なわなければならないと規定されていますが、宅地建物取引業者が自ら売主となる場合には、買主が瑕疵担保責任を追及できる期間を「引渡しの日から2年間」とすることが認められています。 この不動産は既に基礎工事が完了し、これから家屋の建築が始まります。 (事実、現在の地目は今も「山林」のままですから) 元々、原野商法に利用されてしまった土地が、その形を変えて地元のお客様に還元されていく・・・ 売れる可能性の低い土地でも必要なお客様にとって「大切な資産価値」に変えられる、またこのような販売技術を持っていることは、宅建業者として「価値の高いお取引」であり、誇らしく思える素晴らしい取り組みです。 後はメーカー様が素敵な建物を建てて、お客様に引渡される日を弊社も心待ちにしながら、また進展があり次第、記事にさせてもらおうと思います。 |
第2回 |
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平成30年9月26日 以前お知らせした『地方の土地活用について①』の第2弾です。 実は今回のお客様(買主様)も、この記事を楽しみにして下さっています。 ありがたいことです。 今回はテキストでの記事になってしまい写真が殆どありませんが、次回の記事は掲載できる写真も多くなりますので今回はご辛抱下さい(笑) 以前お知らせした『地方の土地活用について①』にてご案内した ・つくばexpressの沿線上にある関東の北側にあって ・地目が【山林】 ・市街化調整区域 の物件です。 本日、無事に決済が完了しました! とは言っても、決して簡単な道のりではありませんでした・・・ ①確定測量図 先に言っておきますが、地積測量図ではありません。確定測量図です。 不動産屋は原則「測量業務」は出来ません。これは「測量士」の仕事です。 ・先ずは土地に隣接している全ての方に連絡を取ります。 (接道が公道なら「官民」私道なら「民民」といいます) ・隣地の方に境界立会いと承諾をお願いします。 ②境界杭埋設 ・既存の境界杭を復元します。 ・協議され確定した境界杭を境界地点に打ち込みます。 (これで確定測量が完了します) ![]() ③電柱移設 ・この物件には元々、電柱が立っていましたが「移設」か「撤去」かのいずれかを電力会社と協議して、今回は「撤去」することになりました。 (撤去は10月末の予定です) ④融資付け ・今回はハウスメーカーさんにお願いしました。 (たまたま弊社の取引銀行でした:笑) ※基本的に銀行は評価証明額の低い土地や山林等に対しては、融資が否決されるケースが多いのですが、この物件のポテンシャルの高さ、ハウスメーカーさんの建築する建物の付加価値などを勘案して銀行は融資を決定しました。 ⑤司法書士の手配 ・今回の依頼は「所有権移転」「抵当権設定」「地役権設定」を依頼しました。 (地役権設定だけは、後日申請になります) ⑥地役権設定 これが、チョット大変でした・・・ 地役権とは? これは土地の利用のために他の土地を一定の方法で支配する用益物権(民法280条以下)。たとえば、甲地(要役地)を利用するために、乙地(承役地)を通行したり、乙地から水を引いたり、あるいは乙地に高い建築物を建てさせなかったりする権利でして、地役権は契約(設定行為)によって設定されるのが原則です。 今回の物件は、公道と私道に接道した「角地」でして、公道は官民立会いのみで終わるのですが、民民の場合は「要役地」と「承役地」というのがあるんですね。 要役地権者:あなたの土地(私道)を通らせて 承役地権者:いいですよ という契約が必要なんです。 これはケースにもよりますが無償なのが殆どです。 当然ですが登記もしなければなりません。 もう少し掘り下げて難しい話をしますと今回は「囲繞地通行権」に該当するので問題は有りません 。 ところが、私道の地権者の方が地役権が一体どういうモノなのか理解されていなくて説明にお伺いして、初めて理解して下さり、逆に相談を受け別件のお手伝いをさせていただくことになりました。 (地方の地主さんには良くある話ですね) 今回の決済は銀行のデスクをお借りして行います。 (最近、「家に現金でお持ちします」なんて言ってくる輩がいるという話を聞きますが、そんなことは常識的に考えてありえない話で、高額であればあるほど尚更、詐欺を疑ってかかるべきです) 銀行では手続き処理が長くて待ち時間が多いのですが、その間に司法書士が手続きや本人の面談を行っていたり、私から契約書の不明点等を再度説明して過ごします。 今回のお客様には弊社で製作した12月に行われる1day協賛限定ラバーバンドをプレゼントさせていただきました。 (この件は後日改めてまた記事に致します) これからの予定として ・造成工事を行い ・注文住宅の図面を作り ・建築許可を取り ・地目変更し ・建築 まだまだやることは沢山ありますので次回、また進展があり次第、記事にさせてもらおうと思います。 次回へつづく!! |
第1回 |
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平成30年7月20日 今回は地方の土地が活用できるケースについての記事です。 一概に『地方の土地』と言っても様々です。 ①以前、ご紹介した様な雪国のスキー場 ②所謂、原野商法に利用されてしまった土地 ③道路が付いていない(接道のない)土地 ④畑や田んぼ ⑤難しいものですと境内地等 これらに共通しているのは、地目が『宅地』でないものが多い ということなんです。 不動産屋というのは「宅地建物取引業法」に基づき業務しています。 読んで字のごとく 「宅地」と「建物」の「取引」を「業(生業)」とする「法(法律)」です。 『宅地じゃないじゃないか』 と、思う方が多いと思いますが実はこれがチョット違いまして、免許権者である都道府県知事や国土交通大臣の定める『宅地の定義』というものがございます。 (非常に細かいので今回は割愛します) 今回、弊社が取扱い販売させていただいた物件は ②原野商法に利用されてしまった土地 だったんですね。 どんな物件かというと ・つくばexpressの沿線上にある関東の北側にあって ・地目が【山林】 ・市街化調整区域 普通に考えたら、正直「売りづらいな」と思いました。 ところがこの物件を販売対象として調査、検討したところ 「これなら何とかなるかも・・・」と、思いました(笑) 実はこの物件の所在地が「10年特例用地」だったんです。 「10年特例用地」とは 市街化調整区域(開発を抑える目的の土地)の土地を見ているとよく広告で「10年特例利用」などと書いてあったり、地元の不動産屋さんと土地の話などをしてみるとよく出てくるのがこの「10年特例」という制度です。 この制度は農家の分家制度から始まりまして、農家の次男が家を建てる、三男が家を建てるといった場合に最初に自分の住んでいた母屋(田んぼ、畑)から比較的近い場所に家を建て、続けて農作業が出来るように「通常は住宅を建築できない市街化調整区域にも家の建築を許可します。」という制度が発端です。 でも農家の人だけがそういう制度を使えるのはちょっと不公平なのでは?と言うことで、現在は“地元に10年以上住んでいる人でしたら許可が下ります”という事になっています ただそれだけでは市街化調整区域(開発を抑える目的の土地)に住宅が沢山建ってしまうのでその他にも細かくルールがあります。 具体的な条件としては、あまり一面何も建っていない所にポツン・・と家が建っていると開発が上手く進まないので周りに建物がある程度建っている。 (通称50戸連たんと言われているものです) 他にも、今後建てる人がいた場合のことを考え、人にやさしい町並みを考えてある程度の広さがあり、かつ元の農家の母屋を越えないようにする(広すぎない)こと等々・・・ 申請することが出来る人にも条件がありまして、 基本的には母屋(出身)の近隣に農家の分家を造る事からこの制度が始まったので、これから家を造る場所(買おうと思っている市街化調整区域)の近隣の大字(おおあざ)出身の人である事(学校区が同じもしくはその近郊)もしくは、今現在はその場所に住んでいなくても過去に通算して10年以上本人が住んでいる等々。 場所(市区町村)によっては昭和48年の市街化区域と市街化調整区域を分ける(通称:線引き)以前から本人、親、兄弟、祖父母、配偶者の親、誰かががその近隣に本籍を持っていた、もしくは住んでいた人も大丈夫だったりします。 申請時の状況にも制限があります。 今現在、広い持ち家に住んでいるのにただ漠然と「もう一つ家を持ちたい。」というのでは許可は下りません。(開発を抑える土地ですから) 具体的には以下のような条件が必要になります。 ・現在アパート、マンションを借りている。 ・現在の住まいが狭くてどうしようもない。 ・結婚して新しく家庭を持つ。 ・家を出ていたが実家に戻ってくる。 ・病気、定年など何かしらの原因により移動が必要。 ・その他、特別な事情がある。 土地の状況をはじめ、申請人の条件、そして申請時の制限といろいろな条件をクリアした人だけが市街化調整区域に住まいを建築できる可能性が生まれます。 こういう制度により指定以外の場所に建物の乱立を防いでいるんですね。 さすがに細かい規定が沢山あります(汗) 弊社が販売物件を扱う場合、基本的には「市街化区域内」の物件が殆どなので、市街化調整区域の取扱は正直、経験不足です。 しかも、「10年特例」を利用しないと捌けない。 そこで弊社は ・地元に特化した ・誰でも知っている有名ハウスメーカーさんと ・土地の販売、注文住宅の建設、引越しの手配まで 全て取り扱うことにしました! 恐らく、9月位には全貌が明らかになると思いますが、この記事は連載でお届けさせていただきます。 先ずは、現地の写真を・・・ ![]() これがどの様に変わっていくのかをお楽しみに(笑) 元々、原野商法に利用されてしまった土地が、その形を変えて地元のお客様に還元されていく・・・ 売れる可能性の低い土地でも必要なお客様にとって「大切な資産価値」に変わることは宅建業者として「価値あるお取引」であり、誇らしく思える素晴らしい取り組みです。 COMING SOON !! |